世界で一番、不器用な君へ
「でも、私、ひどいこと言って…」
「別に?事実俺のせいだったわけだし、キャプテンに誤解されたらまずいだろ」
「そっか」
そっか。そっか…
蓮、私と話してくれてるんだ。
私のこと見放したんじゃなくて、私のこと考えて話しかけないでいてくれたんだ。
「ふっ、うああああああん!」
「はっ!?なんだよ急に!」
「よ、よかったあ…蓮に嫌われたかと思ったあ」
蓮が戸惑っているのが伝わってくるけど、涙が止まってくれない。
「っ、最初は、蓮に大和先輩のこと好きなのバレて、さい、あくだって、っ思ったけどお!」
「泣くか喋るかどっちかにしろよ…」
「なんだかんだバカにしないで聞いてくれてえ!うっ嬉しかったからあああ!」
よかった、ほんとに、よかった。
ずっとモヤモヤしていた胸がスッとした。
そっか、そうだったんだ。
「ううう蓮、抱きついてもいい?」
蓮は呆れ顔で腕を横に広げる。
「…鼻水つけないなら」
「蓮ーーーーーー!」
私はすぐさまその胸にダイブした。
「私、蓮のこと性格悪いし猫かぶってるくせに女子にモテてムカつくし、私のこといっつもバカにしてきて死ぬほどうざいって思ってたけどっ」
「おい、散々だな」
「でもやっぱりなんだかんだ楽しいし、蓮のこと大事な友達だって思ってて…でも、蓮は私のこと嫌いでそう思ってるの私だけだったらどうしようって、思って…」
それで、蓮のことが分からなくなって、不安になった。
でも。
「でも、そうじゃないってわかってよかったあ…蓮、これからも友達でいてくれるよね?」
「ん、はいはい」
なだめられるように背中を撫でられる。
なんだか蓮といると落ち着く。
意地悪だけど、でも実は優しいところもあって、そんな不器用なところに助けられてて…
よかった。
蓮みたいな友達がいて、本当に良かった。