世界で一番、不器用な君へ
「ふー…ん?で、ここどこ?」
涙を止まってきて、私は蓮から離れる。
「…お前、本当に人の話聞いてないな」
蓮はまた、大きなため息を1つついて、イラついた顔で言った。
「俺の家。おまえが酒飲んで酔っ払って動けなくなって?ほっぽっておくわけにもいかないし家も知らないからうちに連れてきたんだよ」
「…っえええええええ!?」
なんて、ことを…
「ごめん、蓮、私今すぐ…」
「あのぉ、もうお邪魔していいかしら?」
声に、部屋の入り口を見ると、綺麗な女の人がニコニコしながら立っていた。
あっ、もしかして…
「別に、邪魔も何もないけど」
「蓮の、お母様、ですか…?」
「うふふ、そう!お母様です♡」
なんと!!!
「すみません、本当に!ご迷惑おかけして…あっ、私蓮の友達の雨宮一花と言います。あの、また今度お詫びをさせていただきますので、今日は…」
「あら、ダメよ!こんな時間に女の子一人で返すなんて、できないわ!」
こんな時間?
そっと時計を見ると、夜中の12時を過ぎていた。
「お前、全然起きねえしスマホも開けられないだろ?楓に家の電話番号聞いて何回かかけたんだけど出なくて…」
はっ、そうだ、今日は…
お母さんもお父さんも仕事で帰らないから…
「ごめんなさい、母も父も仕事でいなくて…」
「あら、じゃあなおのことダメね!危ないわ!」
「いえ、でも一人で帰れるので…」
「お前、今日は泊まってけよ。明日学校だし。」
「でっでも…」
「そうよそうよ!うちもお父さんがちょうど出張だから車で送ることもできないし…ね?」
「…あの、じゃあお言葉に甘えさせていただきます」
「やったー♡こんなかわいい子がうちにいるなんて、テンション上がるわあー」
蓮のお母さんは、なんというか若くてかわいい。
「お風呂、温めておいたから入っちゃってね」
「ありがとうございます…何から何まで」
「いいのよー!」