世界で一番、不器用な君へ


鼻歌を歌いながら、蓮のお母さんは一階へと下りていった。


「お前、先入れよ。姉ちゃんの服貸すから」


「あ、うん。ありがと」


蓮がタンスの中を見ている間に、携帯を開く。


「えっ」


「うおっ…なんだよ、でかい声出して…」


「あ、ごめん、先輩からメッセージきてたから」


びっくりして、思わず。


“無事家にはついたか?大丈夫?”


短いメッセージ。


それでも、こんなに心が舞い上がる。


『迷惑と、ご心配おかけして本当にごめんなさい…( ; ; )大丈夫です!わざわざありがとうございます(^_^)』


誤字脱字をチェックして、送信ボタンを押す。


「…ニヤニヤしすぎ」


「いて」


コツン、と頭を小突かれて、服を渡された。


「してないもん!」


「ばーか、鏡見てから言えよ」


う、そんなに?

< 128 / 190 >

この作品をシェア

pagetop