世界で一番、不器用な君へ


「はあー」


ちゃぷん、と湯船に浸かると、体の疲れが抜けていくようで気持ちがいい。


石けんのにおい。


「蓮のにおいだぁー」


なんだろう、好きだな、このにおい。


落ち着く。


「蓮のファンにばれたら、殺されるだろうなぁ」


でも。


勘違いされて、めんどくさいことになっても、やっぱり話せなくなるのは悲しいって今回身をもってわかった。


「友達でいるだけでこんなに覚悟がいるんだから、彼女はもっと大変だろうなあ」


蓮は、好きな人とかいないのかな。


どんな人が好きなんだろう?


可愛くて、ふわふわして、健気で、純粋で?


きっと、


「私と正反対」


うん、多分そうだ。


今までどんな人と付き合ったんだろう。


家にもきたのかな。







私が初めてならいいな、なんて思ったのは、なんでだろう。

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