世界で一番、不器用な君へ


「ふふ、そう思ってるのは一花ちゃんだけよ。男の子はみんな意外と考えてるんだから」


「…そう、ですかね」


現に息子さんにゴリラとか男女とか言われてるんですけどね…


蓮に限らず、だいたい私の中身を知っているやつは私を男友達のように扱ってくる。


まあ、楽だからいいんだけど。


思ってたのと違った、なんて言われなれてるし。


「ごちそうさまでした」


本当の私を好きになってくれる人なんて、きっといない。


「一花ちゃん」


綺麗な二重の瞳が、私をじっと見つめる。


「恋をするとね、その人のどんなところも愛おしく思えてしまって困るくらいなの。…あなたにもきっと、もうすぐそんな人が現れるわ」


「…だといいんですけどね!」


あはは、と私は明るく笑う。


…先輩。


先輩は、私が告白したら驚くかな。


…引く、かな。


私が恋なんかって、そう思うかな?


それが、私は、怖い。

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