世界で一番、不器用な君へ


「…眠れない」


どれくらいベッドの中でジッとしていただろうか。


一向に眠気がこない。それどころか目がどんどん冴えていく。


もちろん自分の家じゃないからってこともあるけど…


…実は、暗闇が苦手だったりする。


恥ずかしくて今まで誰にも言ったことがなかったけど、真っ暗が、ダメなのだ。


別に、幽霊とか信じてるわけじゃないんだよ、
断じて。うん、そんなものいないもんね、知ってる。視線を感じる気がするとか全部気のせいだし、物音も、全部気のせいだし…


ギシッと木の軋む音がして私はびくりと体を震わせる。


静かな中、私の心臓の音だけが聞こえる。


いやいや、一軒家ならよくあるもんね、うんうん。


別に、怖くてねれないとかじゃ。


全然、ないし。

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