世界で一番、不器用な君へ


***


…重い。いや、苦しい?


なんだ、ん?首が…


「ぷはっ!!!」


不快感で目を思い切り開く。


首の上にある重みをとりあえずどけて…ん?


白くて、細い腕。


俺は、そっと顔を横に動かす。



「………………!!!!????」






…声にならない悲鳴をあげた。




長い睫毛に、ぷるんとした唇。


無防備な、寝顔。


憎たらしいほど気持ち良さそうな寝息。





………ほんっとにこいつは


「ばか!起きろ一花!!」


ほっぺたを容赦なく摘まみ上げる。


「うひゃあああ!?いったあああい!…ん?あれ?蓮?」


「蓮?じゃねえよ!ここは俺の部屋!なんでお前が俺と一緒に寝てんだよっ!!!!」


勘弁してくれ…


「あー!寝ちゃったんだ、私…昨日の夜ねれなくて、蓮の部屋に来たんだけどさあ…っていうか、ずっと聞きたかったんだけど、なんか香水とか使ってる?」


突然顔を近づけてきて、一花は真顔で俺のにおいを嗅ぎ始めた。


「おいっやめろ!」


「なんだろ…柔軟剤?シャンプー?」


「ちょっ…くすぐったいって…!!!」


そこで、俺はハッとする。


視線を感じて、ドアに目をやる。


「…母さん!!!!」


「あら、バレちゃった?♡」


ほんっとに、どいつもこいつも!!!

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