世界で一番、不器用な君へ


「そうと決まればさっそく作戦会議だな!」


「で、できるかな…」


不安と緊張の混ざった顔をする一花の頭に、手を置く。


「大丈夫だよ、お前なら」


「蓮…」


なんとなくだけど、そんな気がする。


馬鹿正直なこいつなら、きっと、キャプテンのことも…


「なんか気持ち悪い」


「お前…人がせっかく勇気づけてやってんのに…失礼な奴だな!」


ぐっと手に力を込める。


「痛いっ!ちょっと、女の子に何すんのよ!」


「誰が女の子だ!ゴリラは森に帰れっ」


「うっさいわね!殴るわよ!」


もうすぐ、夏が来る。

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