世界で一番、不器用な君へ
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絶好のチャンスがやってきてしまった。
タオルを握りしめる手が震える。
ふーっとゆっくり息を吐いて、うるさい心臓を落ち着ける。
すぐ目の前に、水飲み場で髪を洗う先輩がいる。
今は、2人きりだ。
「先輩っ」
少しだけ声が裏返る。
「おー、お疲れ」
「お疲れ様です!」
駆け寄って、タオルを差し出す。
「ふっ…なんか緊張してる?」
タオルを受け取る先輩と指がぶつかって、落ち着けたはずの心臓がまたうるさくなる。
「なんかあった?」
優しい声で先輩が言う。それだけで、嬉しくて、胸がキューッと締め付けられる。