世界で一番、不器用な君へ


「人混み、すごいから」


先輩はそう言って、スッと手を差し出す。


「おいで」


いいのかな?


私はそっと、自分の手を重ねる。


こんなに幸せで、いいのかな?


「なにしたい?」


「えっえっと…あ!たこ焼きありますよ先輩!焼きそばも!ポテトもある〜!」


「ぶはっ」


隣で爆笑する大和先輩に、しまった、と焦る。


「すっすみません、食べ物ばっかり…」


せっかくオシャレしたのに、色気なさすぎ…


「なんで?いいじゃん、俺も食べたいよ?」


先輩の優しさに、思う。


やっぱり私はこの人が好きだ。

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