世界で一番、不器用な君へ
「お前までなんだよ…」
そんなに一花といるか?俺。
「ていうか見ました!?一花先輩!」
カイの後ろから別の一年たちが顔を出す。
「めっちゃ綺麗だったよな…普段からだけど、今日はより一層」
「なー!一人でいるのもったいないくらい!」
「…今なんて言った?」
俺の声に、カイが答える。
「さっき一花先輩見たんですよ。一人で歩いてて、人が多くて見失ったんで声はかけられなかったですけど…」
「いやーいつもの凶暴な先輩とは思えないよな」
「ほんと!あれならいいかもって思っちゃったよー探して声かけようか…」
「どこでみた!?」
思わず大きな声が出て、驚いた一年達がポカンとした表情でこちらをみてくる。
「あっちですよ。神社の方向」
「先輩も行くんすかー!?俺らも行っていいですか!?」
「お前らうるさい」
俺はカイの後ろで騒ぐ一年を睨みつける。
「アイツのこと悪く言っていいの俺だけだから」
「あっおい、蓮!どこ行くんだよ!」
浩平の声を無視して、俺は神社に向かって走り出した。