世界で一番、不器用な君へ
わあっ、と遠くで歓声が上がる。
夜空にキラキラと火花が散り、大きな音が、胸に響く。
「俺は、本気だよ。本気で、お前が好きだよ」
携帯が、止まる。
花火が何発も打ち上がり、その光で、辺りも照らされる。
強い力で胸を押し返され、腕を離す。
「…なんで?そんなの…そんなの、ひどいよ」
一花はか細い声でそれだけ言って、そのまま走って行ってしまった。
空に打ち上がる花火は、信じられないくらい、綺麗だった。