世界で一番、不器用な君へ
絶対、認めない
「ちょっと一花!起きなさい!合宿でしょ!」
「…行きたくない」
お母さんに勢いよく布団を引き剥がされるが、私は蹲ったまま動かなかった。
「バカなこと言ってないでさっさとしなさい!」
お母さんの怒鳴り声に、渋々私は起き上がる。
昨日は結局、先輩の電話には出られなかった。
色々なことが同時に起きすぎて、頭の中がぐちゃぐちゃだよ。
『一花が好きだから』
真剣、だったと思う。
声も、目つきも。普段とは、全然違くて。
だから、一層分からない。
「蓮の嘘つき」
応援するって言ったのに。
なんであんなこと言うの?
もし今日会って、昨日はどうかしてたって、蓮が笑い話にしてくれたら。
私もふざけんなって一発殴って、それでもう終わりにしよう。
お願いだから。
お願いだから、これからもずっと、友達でいてよ。