世界で一番、不器用な君へ


「浩平、席代わって」


私は蓮から顔を背けて立ち上がる。


こんなの、ひどいよ。


蓮と過ごした多くの時間が、音を立てて崩れた気がした。


言い合って、ムカついて、怒って、笑って、泣いて…


友達だから、全力だった。


蓮になら、なんだって話せるって。


私は、そう思ってたんだよ。


「…ひどいよ」


こんなの。


こんなの、裏切りだよ。

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