世界で一番、不器用な君へ


「いいかー休んでる暇はないぞ!各自部屋に荷物を置いたら、すぐ支度して十分後にこの宿の隣の体育館に集合!」


「はい!」


コーチの言葉を合図にそれぞれが決められた部屋へと向かう。


「雨宮、言ってあったとは思うが、部屋…」


「わかってます、他校のマネージャーとですよね?大丈夫です」


心配してくれたコーチに頭を下げ、私も部員に続いてエレベーターに乗り込む。


「一花」


すぐ近くで声が聞こえ、私は驚いて上を向く。


「大和、先輩…」


胸が、締め付けられる。


部員で一杯の狭いエレベーター。


目の前の大和先輩は、近すぎて。


ドキドキと、気まずさで、胸が痛い。


どんな顔するのが正解なの?

< 168 / 190 >

この作品をシェア

pagetop