世界で一番、不器用な君へ
「いいかー休んでる暇はないぞ!各自部屋に荷物を置いたら、すぐ支度して十分後にこの宿の隣の体育館に集合!」
「はい!」
コーチの言葉を合図にそれぞれが決められた部屋へと向かう。
「雨宮、言ってあったとは思うが、部屋…」
「わかってます、他校のマネージャーとですよね?大丈夫です」
心配してくれたコーチに頭を下げ、私も部員に続いてエレベーターに乗り込む。
「一花」
すぐ近くで声が聞こえ、私は驚いて上を向く。
「大和、先輩…」
胸が、締め付けられる。
部員で一杯の狭いエレベーター。
目の前の大和先輩は、近すぎて。
ドキドキと、気まずさで、胸が痛い。
どんな顔するのが正解なの?