世界で一番、不器用な君へ


「部屋、どこ?」


「あ…3階の、角、です」


「後で行く」


ふわっと肩に手が回されて、先輩の胸に、顔が当たった、気がした。


二階に着き、部員たちが降りていく。


扉が閉まって、私は力が抜けたようにその場にしゃがみこんだ。


今、抱きしめられたよね?


そんなことされたら、期待してしまう。


諦めなんて、ますますつかなくなる。


先輩の気持ちが、分からないよ。

< 169 / 190 >

この作品をシェア

pagetop