世界で一番、不器用な君へ


体育館のドアからは明かりが漏れていて、ボールを床につく音と、スパイクが床を蹴る音が交互に聞こえてくる。


そっと中に入る。


練習していたのは、予想通り蓮だった。


いつもとは違う、真剣な目。


悔しいけど、蓮はうちのバスケ部にはなくてはならない存在だ。


2年の中ではもちろん、下手したら3年の先輩たちと比べても、蓮には光るものがある。


ボールが、吸い付くように蓮の手に収まり、吸い込まれるようにネットに入る。


あ、今。


すごく、のってる。

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