世界で一番、不器用な君へ


「一花、昨日は本当にごめん」


沈黙を先に破ったのは大和先輩だった。


頭を下げられ、私は慌てて首を横に振る。


「いいんです、行ってって言ったのは私ですし…それに、私も電話に出られなくてすみませんでした。…ユカさん、大丈夫でしたか?」


「…うん、アイツ、ああいうの多くて。よくあるんだ。ほんと、ごめん」


「ふふ、いいんです。中学の時から先輩には色々聞いてたんで、ユカさんのこと、私結構詳しいんですよ!?元気になったなら、よかったです」


私、こんなに笑えてますよ。


だから、先輩、そんなに申し訳なさそうな顔しないでください。


「時間になっちゃう、行きましょ!」


「一花」


腕を掴まれて、そっと引き寄せられる。


「一花、俺の目見て。お願い」


やばい、泣きそう。


私はそっと息を吐いて、気持ちを落ち着かせ、先輩の顔を見上げる。

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