世界で一番、不器用な君へ
「大和先輩…」
もう部員は皆自分の部屋に戻ったのに。
「さっき、蓮が他校の女マネに捕まってるところみて、もしかしてと思って」
そう言って、ボールをとる。
「手伝うよ」
「えっでも…先輩、体休めなきゃ」
「大丈夫、それなら夜いっぱい寝るしな」
他の部員と違って、という先輩の言葉に、どうしても嬉しくなってしまう。
これは、恵里さん、逆にナイスだったのでは…
「空気の確認と、ボール磨きだよね」
「はい!」
お祭の時、大和先輩がいなくなってしまって、私はもう諦める気でいた。
やっぱりユカさんの存在は大きくて。私は、単なる後輩でしかなくて。
でも、先輩は今日、また私を誘ってくれた。
たとえ可愛い後輩の一人だったとしても。
私はもう、引かない。
振られたとしても、それでも、この想いに後悔はないから。
少しくらい、ズルくなってもいいよね?