世界で一番、不器用な君へ
君の熱に充てられて
***
「おい、一花」
音を立てて横に座った蓮を横目に、私はカレーを食べ続ける。
「お前のせいで散々な目にあったんだからな…」
恵里さんの前で愛想笑いをかます蓮を思い浮かべて、私は必死に笑いを堪える。
「よかったじゃん、蓮も随分と気に入ってたみたいだし?」
「いや、それは胸がデカいなってだけで…」
「ほんっとサイテー。どっか行ってよ」
好きだって言ってきたのだって、どうせ単なる思いつきで。
からかってるんでしょ?
「…なに、お前、やっぱりヤキモチ妬いて」
「ごちそうさま!」
…ヤキモチなんて。
そんなこと、あるはずない。