世界で一番、不器用な君へ
「あ、そういえばね、最終日にウチの部では肝試しやることになってるんだけど、一花ちゃんたちも一緒にどう??」
私の心のうちなどつゆ知らず、恵里さんはノビをしながらそう言った。
「肝試し、ですか?」
「ウン。まあ私が蓮くんと回りたいっていうのもあるんだけど、うちの部の男子たちがけっこー一花ちゃんのこと狙っててさ」
ほら一花ちゃん、かわいいから。
恵里さんの言葉に、私は苦笑する。
…これはまた面倒なことになったな。
「キャプテンに相談してみますね」
「うん、よろしくね!」
ああ、なんだか今回の合宿はいつも以上に憂うつだなあ…