世界で一番、不器用な君へ


「…い…おい!」


何?うるさいなあ…


体を揺さぶられ、不快感で一杯になりながら重い瞼を開ける。


「こんなとこで寝んなよ、マネージャー」


呆れながら私の肩を掴む蓮の顔に、一筋の汗が流れる。


「…あれ?嘘、今何時!?」


「大丈夫、最終下校には間に合ってるから」


体育館の時計が7時25分を指しているのを確認して、ホッとする。


「よかった〜!」


「できるマネージャーだったらちゃんと十分前に声をかけて余裕を持って帰るもんだけどな」


…ほんと一言多いヤツ。


でも事実だから言い返せない。


「…」


「…おい、黙んな。俺が悪者みたいだろ」


ゴン、と拳で頭を突かれる。


いや、力加減おかしくない?女の子なんですけど?


「…ほんと大和先輩とは大違い」


「あ?なんか言った?」


「なんにもー?それよりさっさと着替えて」

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