世界で一番、不器用な君へ
外は暗くなっているのに、十分暑かった。
「ほんとに5月かよ、暑すぎ」
「今年の夏は辛くなりそうだね」
嫌味ばっかり言ってくるヤツだけど、気を遣わなくていい距離感は心地よかったりする。
「一花、いつものやるぞ」
…前言撤回、ニヤニヤしながら拳を突き出してくるこいつはやっぱり悪魔だ。
「…のぞむところよ」
私はできる限りの力を右手の拳に集まる。
「「せーのっじゃーんけーん!」」