世界で一番、不器用な君へ
「はい俺の勝ち〜」
「なんで!?なんでいつも負けるの!?」
学校から一番近いコンビニの前で行われる恒例行事、アイスジャンケン。
毎日一緒なわけじゃないけど、それなりにやってきた。
なのに、一度も勝てないってどういうことなの?
「ほんと、どんくせえヤツだな」
「はあ!?関係ないし!!てゆーかたまには奢ってやるよとかカッコいいこと言えないわけ!?」
「ゴリラ女に奢るほど俺は困ってない」
「アンタってやつはほんとにっ…」
コンビニの自動ドアが開く。一瞬にして、思考が止まった。
「おい、なにブサイクな顔して…」
怪訝そうな顔をする蓮の手を掴んで、コンビニの建物に身を隠す。
「おい!いきなり引っ張んなって…」
「うるさい!黙って!」
心臓が、おかしいくらい鳴っている。