世界で一番、不器用な君へ
恋のキューピッド(?)


コンビニから出てきたのは、キャプテンと、見たことない女だった。


この近くにある有名な私立の女子校の制服を着ている、綺麗な人だ。


…それより、なんで隠れる必要がある?


盗み見ているようで、なんとなく悪い気持ちになる。


キャプテンと女の人の背中が遠くなっても、一花は動かなかった。


「…おい、いつまでこうしてるんだよ」


一花は、前を向いたまま答えない。


「っおい!聞いてんのか…」


思い切り肩を引くと、初めて一花の表情が見えた。


…初めて見る表情が、見えた。


「…なんで」


「嫌!見ないで」





…なんで、そんな泣きそうな顔してんだよ。


慣れない表情に、胸がざわつく。

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