世界で一番、不器用な君へ
アイスバーを口に入れながら、ゆっくりと立ち漕ぎをする。
静かな夜の公園に、俺のブランコが揺れる音だけが響く。
「…気づいたら、好きだったから。いつから、とかはわかんない」
俺は何も言わず、一花の言葉を聞く。
「あの女の人は、私と大和先輩と同じ中学で、大和先輩の幼なじみ。…で、先輩の、元カノ」
…確かに、絵になる2人だったな。
「まあでもヨリ戻したのかな、多分だけど」
「まだ分かんねえじゃん」
「…何、慰めようとしてくれてんの?らしくない」
優しくしろっていつもは言うくせに、本当に必要なときに求めることができない。
とことん不器用なやつなんだ、こいつは。
「でも、分かってたことだから。別れてからも、大和先輩はずーっとユカさんのこと好きだった」
…お前こそ、らしくない顔すんなよ。