世界で一番、不器用な君へ
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最悪だ。
本当に、最悪なことになった。
ちょっとでもいいやつかも、なんて思った私がバカだった。
アイスも、抱きしめて慰めてくれたのも、全部このためだったんだ。
…世界で一番嫌なヤツに、弱みを握られるなんて!!!
「ちょっと、一花、ため息つかないでくれる?ご飯がまずくなる」
ああ、いっそのこと楓に全部言ってしまいたい。
でも大和先輩のことが好きだっていうのは、本当に誰にも、楓にすら言ってなかったことだから。
どうしたらいいの…!!!
「いーちっかちゃん」
気持ち悪いほど機嫌のいい声、肩に回された腕。
振り返るのすら恐ろしい。