世界で一番、不器用な君へ


「…なんでしょうか」


「俺さー弁当忘れちゃって。パン食べたいなー、ほら、購買部のさ、期間限定明太チーズピザパン」


「この時間ならもうとっくに売り切れ…」


「え?無理とかいうの?」


ムカつくほど整った顔が、悪魔の笑みを浮かべて私の顔を覗き込んでくる。


…断ったら、バラされる。


「今すぐ買ってきます!」


「え?ちょ、一花?」


私の行動に驚く楓を無視して、私は全力でダッシュした。

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