世界で一番、不器用な君へ


「ハアッハアッ…はい、パン」


「お、はやかったじゃん」


涼しげな顔で笑う悪魔を、私は睨みつけながらパンを差し出す。


「…ちょっと、受け取りなさいよ」


「えー、ムードないなあ」


ニヤリと蓮が笑う。


…嫌な予感が


「ほら、あーん」


そう言って蓮は図々しく口を開けた。


あと一歩で顔面に明太チーズピザパンをぶち込んでやるところだった。


私は屈辱で体を震わせながらパンをちぎって蓮の口に入れる。


「なに、明日雪でも降る?」


戸惑う楓、そして女子たちの視線が痛い。


「おい、早く」


…雨宮一花、人生終了のお知らせです。

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