世界で一番、不器用な君へ
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「一花、なんかあった?」
唐突に大和先輩にかけられた声に、私は驚いてすぐには返事ができなかった。
「え、いやあ、なんもないですよ!」
慌てて笑顔を取り繕うも、先輩はそう簡単には引き下がってくれない。
「お前と何年の付き合いだと思ってんの?」
…やっぱり先輩は私のことなんてわかってない。
だって先輩のちょっとした一言に、こんなにも嬉しくなってしまうなんて、知りませんよね?
頭に突然重くなって、私は慌てて踏ん張る。
「…ちょっと蓮!重い!」
私の頭を肘置きにしてくるのは、蓮くらいしかいない。
「キャプテン、さすがっすね。実はこいつ…」
「わああああああ!!」