世界で一番、不器用な君へ


***


「一花、なんかあった?」


唐突に大和先輩にかけられた声に、私は驚いてすぐには返事ができなかった。


「え、いやあ、なんもないですよ!」


慌てて笑顔を取り繕うも、先輩はそう簡単には引き下がってくれない。


「お前と何年の付き合いだと思ってんの?」


…やっぱり先輩は私のことなんてわかってない。


だって先輩のちょっとした一言に、こんなにも嬉しくなってしまうなんて、知りませんよね?


頭に突然重くなって、私は慌てて踏ん張る。


「…ちょっと蓮!重い!」


私の頭を肘置きにしてくるのは、蓮くらいしかいない。


「キャプテン、さすがっすね。実はこいつ…」


「わああああああ!!」

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