世界で一番、不器用な君へ
「そんな顔するくらいなら、ちゃんとフラれるまでぶつかれよ。でないとみてるこっちがイライラする」
勝手で、言ってることめちゃくちゃ。
…でも、心の中を見透かされた気がして。
「…っわかった。ちゃんと、自分で言うから。蓮は、余計なことしないで」
そう言って俯いたまま蓮の横を通り過ぎる。
「先輩!」
首からタオルをかけて、ドリンクを飲んでいた先輩は、私の声にすぐ優しい顔を向けてくれる。
仕草の1つ1つに、胸が鳴る。
「…お話があるので、今日、一緒に帰ってくれませんか」
だから、伝えよう。この気持ちを。