世界で一番、不器用な君へ
波乱の体育祭
似合わない顔をする。
キャプテンを見ながら、影のある笑顔を見せる。
そんな顔、これっぽっちも似合ってない。
そんならしくもない顔を見てると、イライラする。
それで、強く言って、傷つける。
手から離れたボールは、ゴールの枠にあたって跳ね返る。
「…全然ダメ」
集中、集中。
アイツの顔は、とりあえず追い出せ。
俺の言葉の意味は通じた?気持ちは、伝えた?伝えなかった?
…泣いてる?笑ってる?
「っクソ」
イライラする。
汗が顎から床にポタポタと落ちる。
…イライラしてんのは、自分のせいなのに。
傷つけていい理由なんて、ないのに。