世界で一番、不器用な君へ
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「はいあと10周!!」
「うそだろ!?」
「鬼!」
私の声にあちこちから不満の声が漏れたが、無視してホイッスルを吹く。
バスケ部恒例の、ギャラリー30周。
体力をつけるには、なんだかんだ走るしかないのだ。
走り終えてクタクタになったみんなのところに、タオルとドリンクを持って走る。
「うっわ、そんなもん持ってよく走れるな」
失礼なことを言う性格クズ野郎に蹴りを入れて、順番に配る。
「キャプテン、どーぞ」
「サンキュ」
どれだけ走ってもキャプテンは音をあげない。
爽やかスマイルもそのまま。
顔がにやけそうになるのを私は必死にこらえてること、きっとキャプテンは一生気づかない。