世界で一番、不器用な君へ
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「あ、先輩、そういえば私も体育会実行委員になったんですよ!」
筋トレの後、タオルを渡しながらさりげなく大和先輩に話しかける。
「え、本当に?助かるな、一花がいてくれたら」
優しい笑顔に胸がキュン、と音を立てる。
「私、精一杯頑張ります!」
一後輩としか見られてないけれど、体育祭は私をアピールするチャンスだ。全力で…
「キャプテン、俺もやるんすよ」
頭に感じた重みと共に小生意気な声が降ってくる。
「ちょっと蓮!」
私はその腕を払いのけて睨みつける。