世界で一番、不器用な君へ
***
「もうっ!なんであんなこと言ったの!」
帰り道、約束通り高いアイスを蓮に手渡しながら私は文句を言う。
「はあ?こんなめんどくさいことに巻き込んでおいて、逆にあれだけですんで幸せに思え」
涼しい顔でアイスを食べるこの横顔を殴ってやりたいけど、我慢だ。
「ほんっと憎たらしいヤツ」
「んー?なんか言った?」
「イイエ、ナンニモ」
ムカつくけどここで実行委員をやめられたら困る。体育祭が終わってから復讐はたくさんしよう。
「で、なんか考えてんの?」
「…なにが?」
「作戦だよ、キャプテンをオトす作戦」
私は蓮の言葉に口ごもる。
「は?お前なんも考えてないわけ?」
呆れた顔で小馬鹿にしたような目で私を見てくる蓮に、悔しいけど何も言えない。