世界で一番、不器用な君へ


体育館からするかけ声と、ボールが床をつく音を聞きながら、ぼんやりと一花たちの様子を見る。


一花に合わせて丁寧に動くキャプテン。


「ふっ、アイツ、ガチガチじゃねえか」


ここからでも緊張してるのがわかる。


あんな具合じゃ、もしかしたらキャプテンにバレてんじゃないか?


いや、でもあの人は根っからの天然で鈍感だしな…


「あっ」


一花がよろけてこけた。


でも、キャプテンがすぐに受け止めたから、転びはしなかったようだ。


…何に関しても、器用な人だ。


「…はあ、俺なにやってんだろ」

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