狼と赤ずきんは恋に落ちてしまった
血の匂いがする方へとどれだけ進んでも、
なかなか元凶に辿り着かない。
その程度の血の量という事になる。
気付くと近付けば近付く程に、
人間のような苦しそうな息遣いが
聞こえるように成っていた。
そして、その元凶に辿り着いた。
『人…』
それは、怪我をした人だった。
『あの…あのー?』
俺は木に寄り掛かるようにして、
苦しそうな息を漏らしながら
倒れこんでいる人に向かって屈かがみながら、
手を振りつつそう、声をかけた。
『んんっ…ん…』
しかし、苦しそうに呻声をあげるだけで、
赤いずきんを被った人は、
目を開かなかった。
俺は、それ程衰弱していると考え、
自分の家に運んで、
手当てをする事にした。
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