クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
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やばい、遅刻しちゃう。
いつも時間に余裕をもって朝を起きて、仕事に向かう準備をしていても、出る間際になってばたつくのはいつもの事。
時間もないのに今日は、肌寒いせいか尿意をもよおし、トイレで時間を割いた私は、慌てて戸締りしエレベーターの前で落ち着きなく待っていた。
築年数20年の7階建てのマンションには、エレベーターは一基しかなく、必ず一階から上がってくるから、少し時間を必要とするのに、今日に限って私がいる5階を過ぎて上の6階に止まった。
あー、もう、1秒でも惜しいのに…
なら、階段を使えばって思うだろうが、身長155センチの私は、普通より少しだけ小さい事に劣等感を感じ、無理をして高さのあるハイヒールをいつも履いている。
そして、今日に限って超ハイヒールを選んでしまったことを、今、後悔している最中。
階段を使ったら余計に時間を取られるし、私の事だから、足を捻ったりしかねない。
時間はないが、いや、時間がないからこそ、ここでエレベーターが降りて来る数秒を待って正解だと、スマホの時刻表示を見る。
それにしても、足下がスースーする。
まだ秋とはいえ、生足で膝丈のフレアスカートのチョイスは失敗だったかな…
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