クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
無駄にイケメンだから、他の人なら頬を染め喜んでいるのだろうが、友人の彼だし、なんとも思わない。
「販売促進部の渡部さんが、どうしてこの階に⁇」
「ちょっとね…莉子ちゃんは、今日の夜は来るんだよね?」
「…あー、はい」
「それなら、絶対に連れ出さないとな」
「誰をですか?」
ただニコリと笑った渡部さんに、首を傾げる私。
「じゃあ、また夜ね」
『はい』と頷いて、私は仕事に戻った。
用事を済ませて総務に戻れば、各部署から山ほど仕事が届けられていて、私以外の4人は殺気だち、文句を言いながら5人で手分けをして、なんとか終業までに終わらせる事ができた。
「ほんと、総務をなんだと思っているのかしら…雑用係じゃないっていうの。週の頭に使うからって、今日中にって、どいつもこいつも…自分達でしろよ」
そう文句を言うのは、私より少し年上の朱里さん。
彼女をなだめるのは、年長者の相田さんでまぁまぁと主婦4人は、お疲れ様と言って帰っていく。
そんな彼女らを羨ましく思えるが、社員の私にはまだ残された仕事がある。
台車に乗せられた山を見て、ふっーと息を吐き、時計の時刻を確認した私は、待ち合わせに間に合わせなきゃと急ぐのだった。