クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)

桐谷さんの前は空席で、男性陣は年功序列の順番らしく、まだ来ない向井朝陽さんの為に空けてあるらしい。簡単な挨拶は、梶岡さんの前に座る小野寺さん、私の前にいる陣内君まで終わり、私の番になろうとしたとき、飲み物が運ばれてきたのと一緒に、スーツを着た男性が入ってきた。

私はその顔に見覚えがあり、大きな声であっ、と彼を指差してしまい、彼も私に気がついたらしい。

「今朝の…」

呟いた彼は、空いてる席に座らずに、陣内君に空席に座るよう促し、私の目の前に座ったのだ。

そうすると、隣からのなんとも言えないプレッシャーがあり、怖くて隣を見れないでいると、飲み物が各々の前に届いた。

遅刻してきた向井さんの手には、何故だか入ってきた時からビールグラスがあり、揃ったという事で乾杯をする。

私は、小野寺さんと桐谷さんからの見えない圧に、押し潰れそうで、アルコールの味を味わう余裕がなく、
既に帰りたい気分だった。

挨拶がまだだった、私と向井さんが簡単に挨拶することになり、向井さんは、鉄仮面のように表情を変えず
無愛想に「営業の向井です」とだけ…

梶岡さんと陣内君の挨拶と比べると素っ気なさすぎて、男性陣から趣味はとか、女性のタイプはとかないのかとツッコミが入っても、『特に』で終わらせた。
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