クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
渡部さんに続いて、梶岡さんと陣内君が俺も俺もと言うと、向井さんは、「ロボットじゃないんだから俺だって笑う」と、不貞腐れだし、そんな彼に桐谷さんも小野寺さんも、普段会社で見る事のない向井さんの姿に頬を染めているのだろうと想像できた。
「あの…普段見かける真剣な表情の向井さんも素敵で、近寄り難い方かと思ってましたが、今日は、別な表情の向井さんを知り、親近感が持てました」
そう言ったのは、声のトーンをワントーン上げた桐谷さんだ。
だが、向井さんの対応は素っ気なく『どーも』と一瞥
しただけで、彼の視線は私に戻ってくる。
会話の続かない事に桐谷さんは戸惑っていて、渡部さんが気をつかい空気を変えようとする。
「えっと、朝陽は元からこんな感じだから、桐谷さんは気にしないでね。愛想のない奴はほっとこう。愛想といえば、受付のみなさんはすごいよね。いつも、素敵な笑顔で出迎えてくれるし、俺らは朝から癒されてるよ」
少し無理やり感があるが、話の方向が自分達に変わり、褒められてる事に桐谷さんと小野寺さんは、ご機嫌の様子で微笑む。
「そう言ってもらえると、嬉しいです。私達、みなさんに気分よく仕事をしてもらえるようにと、どんな時も笑顔を忘れないように心がけてるんですよ」