クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)

あっあー…

ピーラーで指の皮を剥いてしまう人なんて、私ぐらいかもしれないと、血が滲む指先を水道水で洗った後、口の中に加えながら食器棚の引き出しを漁ると、常備してある絆創膏が出てきて、怪我した指先に巻いた。

ジンジンとする鈍い痛みに、最悪だと思いながら、包丁で次々と野菜をカットしたら、圧力鍋の出番だ。

カットした大きめの野菜を鍋に入れ、浸かるぐらいの水を入れてしっかりと蓋をして火にかけている間に、千切りした玉ねぎが飴色になるまでフライパンで炒めたあと、一旦別の容器に移し替え、フライパンで粗挽き肉に火を通した。そして、圧力鍋の中に飴色玉ねぎと粗挽き肉を市販のカレールーと一緒に入れて、とろみがつくまで煮込んで、桃寺家のカレーの出来上がり。

丁度、炊飯器から、炊き上がった音が鳴った。

私、頑張ったよ。

途中、洗濯機に呼ばれたが、カレー作りを優先した甲斐があり、お昼ご飯に向井さんに持って行ってあげれると喜んだのも束の間で、ふと、自分の身なりが朝、起きたままだったと気がついた。

気がついてよかった…

気がついてなかったら、このルームウェアとスッピンのボサ頭で彼に会いに行っていたかもしれないのだから…

< 27 / 111 >

この作品をシェア

pagetop