クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)

まさか…と思うだろうが、私なら、まぁ、着替えぐらいはさすがにしたと思うけど、スッピンぐらいはありえるのだ。

急いで、着替えをする為に部屋に入ったが、服が選べない。

外見は素敵な人だが、今の私は恋愛対象として男性を見ていない。だけど、なんていうか、『女として終わってるな』なんて思われたり、『俺に気があるのか』なんて思われるのも嫌なのだ。

悩んだ末、当たり障りのないパーカーにジーンズをチョイスしたが、スッピン顔が悩ましい。

こういう時は、化粧していくものなのか?

わからない…

結局、眉だけ描いてあまり顔を見られないように、伊達メガネで顔を隠し、ボサ頭は、ブラシでといて肩下まである髪は、軽くお団子にした。

これぐらいなら、女として終わってると思われないだろうし、気があると思われないだろう。

納得いく格好で、キッチンへ戻った私は、自分の分のカレーを別の鍋に取り分けた後、炊けたご飯を、彼の食べるだろう分だけ大きめのタッパに入れ、ビールの6缶パックと一緒にビニール袋に入れる。

右手に重いビニール袋、左手に鍋を持った私は、彼の部屋に向かった。

彼の住む601号室のインターホンを押すと、しばらくして彼がでた。

「はい」

「桃寺です」

「なに?」

< 28 / 111 >

この作品をシェア

pagetop