クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
「いや…ますます気に入った」
「申し訳ないんですけど、私、向井さんの事、苦手です」
「それで?」
彼は、艶めいた目で私の絆創膏の貼ってある手を掴んだ。
「苦手なんです」
「だから…」
絆創膏の貼ってある指にチュッとキスをされて、あわあわしだす私。
「な、な、なにするんですか?」
手を引きたくても、手首を掴まれていてはどうにもできずにいた。
「俺がカレーを食べたいって言ったせいで、傷作ったんだろ。だから、労ってる」
「…いやいや、意味わからないです」
「なら、わかるよーにしようか?」
腰をギュッと抱きしめられて、彼の顔が目の前に近づく。
この距離は…ヤバイ。
胸が、ドキドキと加速して、頬が熱くなる。
「わ、わかりたくないので、遠慮します」
「残念…」
すっーと、腰の腕が解けた瞬間、私は、玄関ドアに背をへばりつけながら、ドアを開けた。
「お、じゃましましたー」
彼は手をふりながら笑う。
「またね、ももじりっこちゃん」
「…変な呼び方やめてください」
怒る私に彼の表情は真顔になった。
「今は逃してやる。俺がお前の名前を呼ぶ時は、もう逃げられないからな」
訳がわからないけど、背筋にゾクリと冷や汗をかいた私は、慌てて彼の部屋を出た。