クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
「好かれても困るんだけど…」
「同じマンションに住んでて、まぁ、きっかけは、とても面白いけど…ふふ、向井さんいいと思うよ」
「何が?」
「決まってるじゃない…恋愛対象としてよ。無愛想だけど、一旦気に入ったら、気を許すタイプだから慎重な人だと思うし、見かけと違って浮ついた話は聞かないし、仕事はできるし…莉子がお気に入りみたいだし…いい加減、怖がってないで前に進むべきだよ」
痛いところをつかれ、ムカッとなった私はテーブルをバンと両手で叩いた。
「怖がってない。…恋愛する気になれないだけだから…浮気を何度も繰り返されてその度にもう、しないって約束して、信じて、その度に裏切られた事が、絵梨花はないから…私の気持ちなんてわからないよ。今は、絵梨花一途の渡部さんだっていつか浮気するかもしれない可能性があるんだよ。人の心配してないで、渡部さんが浮気しないように心配したら…」
絵梨花の表情が険しくなったけど、口に出したら止まらなくなっていた。
「…ごめん。帰る」
私は、財布から2000円をテーブルの上に置いて、絵梨花の顔も見ずにお店を出て行った。
私の事を心配してくれていたのに、絵梨花の気持ちも考えず、酷い事を言ってしまい、帰ってる途中、自己嫌悪に落ち込み、自分に腹立たしくなっていた。