クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
同じ会社内でお互い顔は知っていても、親睦会が初対面だったのに、彼は、なれなれしくないか?
「梶岡さん?」
「莉子ちゃんこそ、大丈夫だった?」
イケメンで自分に自信があり、誰もが自分に心開くと思っているような人。まぁ、彼のこういうところが営業No.2でいられるのだろうが、私は、彼のような人は苦手だ。
距離感というものを知らないのだろう。
「あの、桃寺です」
「うん、知ってるよ」
満面の笑顔で、頷かれては力が抜ける。
「名前を呼ばれるほど、親しくもないので、苗字でお願いします」
「えー、樹はいいのに?」
絵梨花の彼氏の渡部さんと梶岡さんと、向井さんの3人は同期だったと聞いた事がある。
「彼氏以外の人に名前呼びされるのはイヤですけど、渡部さんは、絵梨花と一緒に何度かお会いしていて、彼女の友達として親しく呼んでいるだけですから…」
「えー、莉子ちゃん彼氏いたんだ…。ショックだなぁ」
いやいや、話の拾うところそこじゃないでしょ。
最後まで話聞いてよ…
もう、だからイケメンって苦手。
「「桃寺」です」
もう一度苗字を言った時、会いたかった人の声が私を呼んだ。
「向井、お疲れ、向こうさんのオッケーでたか?」