クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
「はぁっ、そんな物でいいのか?」
「はい、私、実はお酒はあまり飲めないんですけど、おつまみ類って大好きなんです」
「酒飲めないのに、つまみが好きって…ほんとお前って面白いな…」
向井さんに、また、余計なことを言ってしまったと、落ち込む。
「じゃあ、おやすみなさい」
「…なぁお前さ、背、縮んだ?」
私、おやすみなさいって言ったよね。
今、そんな会話の流れだったけ?
「そんなわけないじゃないですか?。足元見てください…ヒール履いてないからです。てか、前にお邪魔した時もヒール履いてませんでしたけど」
「お前、ムキになるとすぐ顔に出るのな…」
「まさか、わざとですか?」
ニヤっと彼は笑ったので、わざとだったらしい。
「いじめっ子」
あなたは、クールで口数の少ない男じゃなかったんですか?
「いじめっ子って…幼稚な返しだな」
くやしい。
やっぱり、この人苦手だ。
「背が小さいから、普段はハイヒールを履くようにしてるんです」
クククっと笑いを噛み殺して笑う向井さんにムッと唇を尖らせ、「おやすみなさい」と、言い捨てて私はエレベーター使わず、足早に階段に向かった。
その途中、なぜかわからいが、スキップしている自分に気がついて慌てて振り返ったが、もう、向井さんの部屋のドアは閉まっていた。