クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
「うん、困って…俺を意識してくれると嬉しいな」
ハァィ⁈
周囲の女性達の瞬殺するような鋭い視線に、私の平穏な日常が崩れていく予感しかしない。
嫉妬やねたみ、想像しただけで身震いする。
「ほんと、困ります」
梶岡さんにはっきりと断りを入れた私は、絵梨花にごめんと謝って、その場から逃げるように食堂を出て行き、トイレに駆け込んだ。
そして、閉じこもるように鍵を閉め、便座に座り状況確認をする。
どうしてこんな事に⁇
梶岡さんが私を?
本気だったの?
あれは冗談だと言ってくれないだろうか?
私の心のうちは、梶岡さんの発言は迷惑でしかないとはっきりと答えが出ていた。
梶岡さんのようなチャラい男性とは、近寄りたくなく、偶然、会っても素っ気ない態度をとっていたのに、それがなぜ急に、公衆の面前で、告白まがいなアプローチをされたのだろう?
男なんて信用できない私は、何か、裏があるのではと勘繰ってしまうが、冷静に分析してる場合じゃない。
今、私は危機的に落ちている。
食堂にいた女性達の中に、梶岡ファンは何人もいたはずで、私は、彼女らを敵に回してしまった。
付き合ったら、彼女らを怒らせるし、
断ったら、断ったで何様と彼女らの反感を買うし、あの、受け答えで、なるべく穏便に済ませたい。