クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
事故とはいえ彼とキスし、そのまま流されてキスを受け入れてしまった物置部屋での事が脳裏にチラついてしまった。
2度目の彼とのキスが、嫌じゃなかったなんて、認めたくないと思っていたら、また、ポケットでブーブーブーとスマホが鳴り、もうっと、チラッと画面を見れば、やはり向井さんだった。
「さっきから誰?まさか、小野寺さん?」
「うーうん、違うよ」
上の空の返事に、絵梨花が私の手からスマホを取り上げてしまった。
「……む、向井さん」
裏返った声で絵梨花が叫び、驚いている。
「ど、言うことかな?」
「成り行きで連絡先の交換をしただけだって…」
「へー、『腹減った。シチュー食べたい』ですって、後は、『まだ、あの女いんの?早く帰せ。そして早く来い』って、わー、向井さんの部屋まで知ってる仲じゃん…『なんで、返事しないんだ』だってさ」
画面をこちらに向けて、ニヤッと笑う絵梨花に狼狽して言い訳が思いつかないでいる間に、勝手にスマホを操作していた絵梨花からスマホが返ってきた。
「私は、邪魔者らしいから、帰るけど…向井さんに彼のふりを頼むのもいいんじゃない?」