クールな彼とちょっとドジな彼女の恋の攻防戦(後日談移動しました)
ハァ…行かないと行けないよね…
大きくため息をつき、鍋にあるシチューとバケットをラップに包んだ後、自分のルームウェア姿をスタンドミラー越しに見ていた。
女、捨ててるって思われるのは悔しい。
そんな言い訳をして、服選びに時間がかかる。
どれを取っても、意識していると思われそうで、結局選んだのは、通勤に着ていた服だった。
スーツの上を着るか着ないかで迷い、部屋着の上からいつも羽織るロング丈のカーディガンを羽織って、足元は、スリッポンで彼の部屋のインターホンを鳴らした。
待ち構えていたようなタイミングで、すぐにドアが開いたが、向井さんはムスッとして何も喋らないし、シチューも受け取ってくれない。
「シチュー、持ってきました」
「…俺が連絡したら、いつでもすぐに来いって言ったよな!」
そうでしたね…
やっと喋ったと思ったら、私怒られるですか?
「絵梨花が来ていたの知ってますよね。それで呼び出す方がおかしくないですか?大体、絵梨花にあいつん家行くのかってなんですか?黙ってそのままやり過ごしてくださいよ」
「……ギャーギャー、うるさい」
「はぁっ?都合が悪くなったから、逆切れですか⁈」
「キレてない」